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セッションハウス スタッフブログ 【スタッフより。】

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渡辺一枝トークの会「福島の声を聞こう!」8回目開かる

昨年3月から始めた「渡辺一枝トークの会・福島の声を聞こう!」の8回目が一昨日の日曜日(8日)、いつもの2Fギャラリーから地下スタジオに場所を変えて開かれました。今回はゲストスピーカーに飯館村の酪農家、長谷川健一さんに来ていただき、ご自身が被災後撮り続けてこられた映画『飯館村 わたしの記録』を上映するとともに、原発事故の被災地が今なお抱えている問題点を語っていただきました。
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放射能に汚染される前までは、50頭の乳牛を飼育していた長谷川さんですが、国の情報隠しで大混乱の末全村が計画的避難地域となって、絞った牛乳を捨てたり、大切に育ててきた牛達を移転したり殺処分にしなければならぬという辛い決断を強いられたのでした。家族も3カ所に分散、美しかった村も農作業が出来なくなった田圃や畑は草ぼうぼうとなっていきました。映画はその変わりゆく村の姿を記録に残さなければと思い立ち、長谷川さんが初めてビデオカメラを手にして撮影してきた貴重な記録です。
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75分にわたる映画の上映後、休憩をはさんで2部ではスライドで静止画を映しながら、長谷川さんが凛とした語り口で村が直面している多くの問題点を次々と指摘していくトークのひとときとなりました。「原発さえなければ」と牛舎の壁に書いて縊死した酪農家の仲間を失った悲しみを語る長谷川さんが、具体例を上げて指摘する線量計の数値の誤魔化しや、上辺だけ取り繕った除染作業で事足れりとする国や行政の無責任なやり方には、会場の中からも驚きかつ怒りの声が上がりました。
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牛たちと共に暮らしてきた長谷川さんは今は仮設住宅住まいを強いられ酪農の道を断たれた無念さを抱きながら、マスメディアでは村で起きていることの本当のことは伝えられていないとの思いから、映画を作り各地で実情を伝える活動をしています。そして、その生活感に基づいた活動は、国を越えてドイツやベルギー、韓国などの人々との連帯へと拡がっています。強行採決されてしまった特別秘密保護法が施行されたら、いっそう原発の情報隠しが酷くなるのではと危惧するトークの会主宰者の渡辺一枝さんですが、会場からの声もあって、長谷川さんがお話になったような現実を広く知らせていく方途を考えていこうとの意思を確認しあう会となりました。
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このトークの会「福島の声を聞こう!」は、来年も続きます。次回の内容が決まり次第お知らせしますが、一人でも多くの方が被災地の方の生の声を聞いていただき、これからどうしていったらいいのか、語り合い考えていただきたいものと願っています。
なお、長谷川健一さんは写真集や「原発に“ふるさと”を奪われて」などの本も出しておられます。放射能禍でどんなことが起きているのかを知るためにも、トークの会にお出でになられなかった方にも一読をお奨めしたい本です。(記:伊藤孝)
by sh_offstage | 2013-12-10 04:45 | 渡辺一枝トークの会 | Comments(0)
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