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セッションハウス スタッフブログ 【スタッフより。】

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韓国のダンス・フェスティバルからの報告

私は12月1日から9日まで韓国のSCF(ソウル国際コレオグラフィー・フェスティバル)に招かれ、審査委員の一人として参加してきました。今年からは大学生などを対象にしたショーケースも加わって、ガラ公演を含めて80もの作品を見て、一作一作に評点をつけるのに四苦八苦する日々を送ってきました。
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フェスティバルはソウル市内の大学路(テハンロ)にあるアルコ芸術劇場の大ホールと小ホールで交互に開かれ、審査委員には韓国のメンバーに加えフィンランド、フランス、スロバキア、ブルガリア、イスラエル、アメリカから参加、日本からは評論家の乗越たかおさん、「踊る。秋田」のディレクターの山川三太さんと制作マネージャーの韓ヨルムさんと私が参加しました。
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日替わりのプログラムは、ソロ、デュエット、グループと多彩な作品群の競演で、日本からはこれまでの受賞者によるガラ公演に石井則仁さんと小池陽子さんが出演、コンペティションに5組が参加。とりわけ嬉しかったのは昨年の「ダンスブリッジ・インターナショナル」のPART1で同じ舞台に立った三東瑠璃さんと韓国のパク・サンミさんが高い評価を受け、“国際審査委員賞”を同時受賞したことでした。
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三東さんの受賞作『Matou』は、昨年セッションハウスで初演した作品です。
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そして来年三東さんはフィンランド、フランス、ブルガリアから、パクさんはイスラエルのフェスティバルにそれぞれから招待されることになりました。
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     フィンランドの審査委員Lisa Nojonenさんと三東さん
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     イスラエルの審査委員のGoby Aldorさんとパクさん
セッションハウスには来年の「ダンスブリッジ・インターナショナル」に、『飛行』と題した作品でパワフルなダンスを見せてくれたJeong Cheol In君とRyu Ji Soo君の若き男性ディオに来てもらうことにしました。
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この作品は審査委員長賞も受賞し、セッションハウスの他にフィンランドにも招かれています。
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折しもいま韓国は、朴大統領の退陣問題でたいへんな騒ぎになっていて、テレビでも終日このニュースを大きく取り上げ報じていました。
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私も先々週の土曜日公演の後に市の中心部の光化門前広場で開かれている市民集会に行ってみました。夜遅い時間にもかかわらず大勢の人が詰めかけていて、設置されたステージでは演説だけでなく、バンドの演奏から子供たちのサムルノリのグループまで登場する中で、口々に「大統領の即時退陣」を叫んでいました。この集会に参加したダンサーからも、政治の未来に対する熱い想いを聞くことが出来ました。
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韓国ではこれまでに軍事政権下で光州事件のように流血を伴った悲惨な歴史の数々がありますが、それを経て民主化を自分たちのものにしてきた市民たちです。抗議する口調は熱気がこもっていましたが、穏やかな空気が流れており、韓国の民主主義が成熟してきたことを目の当たりすることが出来ました。
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こうして歴史的転換点に立っているソウルでの一週間は、ダンスの世界においても、政治の世界においても韓国の熱い息吹きを感じとる貴重な時間となりました。(記:伊藤孝)
by sh_offstage | 2016-12-13 03:02 | Comments(0)
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