プロデューサーの伊藤孝です。
今日は終戦65年目の記念日。セッションハウスは地下スタジオではワークショップ、2Fガーデンでは展覧会と平和な光景が続いているのは素晴らしい。でも今日はやはりあの時代のことを語りたい。
先日NHKスペシャルで「玉砕」という番組を見た。昭和18年、アッツ島という北太平洋の小さな島で、アメリカ軍の圧倒的な攻勢の前に弾薬や食糧の補給も断たれ、援軍も来ないで見捨てられた2600人余りの兵士が絶望的な戦いを強いられ、全滅した戦争の知られざる背景を炙りだした番組だった。その死者の数は2638名、生還者はわずか27名。その膨大な死者は「玉砕」(玉が砕けるように美しく散るという意)という美名の下で伝えられ、悲劇の真相は糊塗されていったのだった。その兵士達の絶望的な戦いを強いたのは、やはり言葉だった。東条英機が陸軍大臣だった時に書いたといわれる「生きて虜囚の辱めを受けず」という戦陣訓の一節。負け戦でも捕虜になることは恥じとして禁じるこの言葉は、アッツ島のみならず幾多の戦場で兵士達に死ぬことを強要するものであったし、サイパンや沖縄では一般住民にも自決を強制するものだった。一つの言葉がもたらした恐るべき呪縛力。ポジティブにもネガティブにも言葉の重みを改めて思う8月15日である。
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