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セッションハウス スタッフブログ 【スタッフより。】

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「光と闇」の中から

一昨日は東日本大震災から1ヵ月。被災地の人達のこれからの道筋も見えない中、破損した福島原発は昨日、とうとうチェルノブイリ原発事故と同じレベル7という最悪の事態になってしまいました。

放射能被害がこれからどのような影響をもたらしていくのか、このニュースに暗澹たる気持ちになりながら、国立西洋美術館でレンブラントの絵を見てきました。「光と闇」の画家といわれる彼のモノクロームの版画を主体にした展覧会です。目をこらしてじっと見ていると暗闇の中からさまざまなものが立ち上がってくる世界。その作品の数々を見歩くうちに、節電で薄暗くなった町並みを歩いている時の情景が重なり合い、不思議にも心穏やかな気持ちになっていったのです。
計画停電に遭遇した友達の一人が言いました。「東京でこんなにきれいな星空が見えるとは」と。

使い放題に電気を使って光が氾濫する中で、「闇」の世界の魅力を忘れてしまっていた私達。そして、その電気の多くを原発に依存していたことを、知ってか知らずか頬かぶりをしてきた私達。いま一人ひとりが生きる姿勢を問われ始めているのです。
日本は果たして再び蘇ることが出来るのか?「復興」とはいえ、震災以前の暮らし方と同じようなものに戻ることであっては、同じ愚を繰り返すことになるでしょう。

「重要なのは復旧でなく“創世”というビジョン」(寺島実郎)、「価値観の転換を」(柳田邦男)、「成長信仰から脱却を。東洋のポルトガルも悪くない」(川北稔)、「求めるべきは安易な希望ではなく、新しい日本をつくる意思と知恵」(高村薫)・・・。根っこのところからの“発想の転換”が必要なことを説くさまざまな声も聞こえてきています。

そうした中、日曜日に行われ統一地方選挙の都知事選挙で、「東京が止まったら日本が止まる」として、原発は必要と言う候補者が圧勝(四選)したのには愕然としました。放射能の飛散を恐れ、買いだめに走った都民。いま広島、長崎に続く第三の被爆=被曝(厳密に言うと1954年の第五福竜丸事件を入れると第四の被曝)とも言える経験下にあるのに、脱原発への理解はまだまだ遠い道なのでしょうか?

その一方、原発が身近にある地域の県議選では、有権者は「福島の事態はひとごとではない」と悩みながら一票を投じたと伝えられています。出力が世界最大級と言われる原発(3号機)の増設計画が争点となった鹿児島県の川内原発がある選挙区では、増設中止を訴えた候補者が初当選、原発推進派の議席独占を阻んだことは、脱原発への希望の光として注目されていいでしょう。                   (記:伊藤 孝)
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レンブラント【羊飼いの礼拝】

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by sh_offstage | 2011-04-13 02:08 | Comments(0)
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