昨日、2Fガーデンで渡辺一枝さんのトークの会「福島の声を聞こう!」の2回目が開かれ、90名を越える参加者が被災地から駆けつけてくださったゲストスピーカーのお話に息をのみました。
今回のゲストスピーカーは計画的非難地域になっている飯館村から福島市に避難し、自家焙煎のコーヒー店を避難先で再開している市澤美由紀さん。
市澤さんのお話は、人口6000人の農村でコーヒー店を開いた時のいきさつをユーモラスに語り始めて笑いを誘ったのでしたが、話が進むにつれ地震から原子力発電所の爆発で大混乱に陥った時のことへと移り、現地の人ならではのお話に会場はシーンとなったのでした。
行政の対応が二転三転して、ただちに避難すべきなのか否か、停電が続き水も飲めない状態の中で、村の人たちは翻弄され続けたとのこと。開店して20年、遠くから車でやって来る人も多かった人気のコーヒー店をたたんで、避難しなければならなかった市澤さんたちのくやしさは、想像を絶するものがあります。
津波の被害には会わなかったけれど、美しい山村の風景が広がる飯館村。市澤さんのコーヒ店のそばにあるブルーベリーも放射能をあびて食べることなどかなわなくなり、近い将来帰村する可能性は200%ないとも言われている今、市澤さんは避難先の福島の店で変わらぬ自家焙煎のコーヒー店を開きながら、原発事故のもたらすものの大きさを訴え続けているのです。

会場には14日からチャリティーアート展を開く豊田紀雄さんら世話人4人も来場、一枝さんとバトンタッチの挨拶。この展覧会では作品の売上金の一部を一枝さんを通して相馬市の≪原発事故から命と環境を守る会≫に届けることにしています。

また、被災地で演奏したり、ピアノを送ったり、「負けないで!東北」というCDを作って支援を続けているジャズ・ピアニストの板橋文夫さんも姿をみせ、一枝さんや市澤さんとこれから一緒にやれることはないかと話し合っていました。

自然と人間の調和を考え続けている板橋さんは、飯館村をテーマにした曲も創ったとのこと。これから何かが始まる予感もする一夜でもありました。(記:伊藤孝)