昨夜、久しぶりにマドモアゼル・シネマの「つぐちゃんの空」のリハーサルを覘いてみました。オーストラリアのアボリジニの洗濯女の回想でを12人の登場人物を一人で演じる芝居「ウインドミル・ベイビー」、その再演のための稽古で今大忙しの大方斐紗子さんも駈け付けてくれて、リハはいよいよ佳境に入ってきています。
いきなり聴こえてきたのは、坂田明さんが独特のだみ声で語る「死んだ男の残したものは」の曲。谷川俊太郎さんの詩に武光徹さんが作曲した名曲です。坂田さんが語りサックスを奏でるジャズ風のバージョンで、胸にしみいる名プレイです。それに触発されて大方さんをまじえて全員で踊るダンスが、死んだ人へと想いをはせる静かな時間を紡いでいくのです。

リハをかさねるにつれて大方さんとマドの7人が寄り添い、ぴったりと息が合ってきました。ちょとばかりいじわる婆さん風の大方さんの内に秘めたやさしさがじんわりと伝わり、若い世代のダンサーたちにもかみしめるような情感がみなぎり始めています。

6月23日と24日の公演まであとわずか。今はまだ稽古着ですが、先日打ち合わせにいらっしゃった衣裳担当の原田松野先生がどのようなデザインのものを皆にまとわせるのか、いろいろ想像するにつけ公演が待ち遠しくなってきました。(記:伊藤孝)