山口県岩国、城下町と米軍基地のある町。そこで今大きなニュースになっているのが、米軍の新型輸送機オスプレイの搬入問題。何回も墜落事故を起こしたことから、安全性が疑われる飛行機を持ち込むのは危険きわまりないと、駐留基地となる沖縄をはじめ、訓練地になる各地から持ち込みに反対する声が高まる中、日本政府は聞く耳持たず、今日岩国基地に陸揚げ作業が強行されたのだった。そしてニュースは岩国の町では今日、抗議の声が響きわたっていたと伝えている。

(朝日新聞夕刊より)
岩国は2007年にマドモアゼル・シネマが公演をし、今年10月も「東京タンゴ」の公演をすることになっている縁の深い町。市民組織で社会とのつながりに力点を置いた多くのアートムーブメントを実践してきた所である。今日ニュースを見ながら、私達の公演の現地制作を引き受けてくれる「フォーラム2012<岩国>実行委員会」のリーダー、美術作家の原田文明さん達も、オスプレイの搬入に心穏やかではないだろうと思っていたところ、朝日新聞の夕刊に原田さんご夫妻のことが載っていた。
『市内在住の画家、原田文明さんは今回、妻(児童文学作家・岩瀬成子さん)とともに初めて抗議の輪に加わった。きっかけは福島の原発事故。チェルノブイリ事故で盛り上がった反原発運動に共感しつつも「ちゃんと運動しないままズルズルきてしまった」からだ。
オスプレイの配備問題は原発の問題と似ていると感じている。「岩国での搬入を認めれば、全国でオスプレイが飛び始める。1カ所の原発が動けば全国の再稼働につながるのと同じ」。段ボールで手作りしたプラカードを握る手に力を込めた。』
アーティストもダンサーも世の中の動きとは無縁ではいられない。そのような当たり前のことを改めて痛覚される1日となった。(記:伊藤孝)