昨日29日(金)、セッションハウスのB1スタジオで、オルティンドー歌手オットホンバイラさんの歌声が響きわたり、モンゴルの大草原へと誘うコンサートが開かれました。
オットホンバイラさんは、内モンゴルの草原生まれ、1994年に来日以来、日本で活動している歌い手です。私がTBSラジオで番組を作っていた頃のパートナーだった桂田實さんが是非彼の素晴らしい歌を聴いてほしいと提案してきた企画です。普段はダンス企画が多いセッションハウスでは久々の音楽プロパーの企画でしたが、100人を越えるお客さんが来場し、熱のこもった2時間となりました。
オッティンドーはモンゴル固有の民謡で、草原の中でコブシを生かしながら伸びやかな発声で唄うもの。オットホンバイラさんは、巧な日本語でコメントしながらモンゴルの民族楽器・馬頭琴の名手バヤルトさんと共に、牧畜の民らしく馬をテーマにした「可愛い井白馬」などの歌を次々と披露してくれました。
また、オットホンバイラさんは、日本の民謡も得意で、尺八奏者と共に宮崎県民謡「刈干し切唄」なども披露、ギタリストの佐久間順平さんも駆けつけて、飛び入りで「南部牛追い唄」の伴奏をするサプライズもありました。
大草原で思い切り外に向かって唄うモンゴル、山あり谷ありでこだまが返ってくる日本では、声の出し方は違うけれども、自然に向かって唄う気持ちは同じというオットホンバイラさんです。アートにたずさわる者にとっても、異文化の中にも通いあうものを見つけていくことの、文化の架け橋となることの大切さに思いをはせるひとときでもありました。(記:伊藤孝)