昨日の9月28日(金)、セッションハウス2Fのガーデンで渡辺一枝トークの会「福島の声を聞こう!」の3回目が行われました。
今回のゲスト・スピーカーは福島県の方ではなく、福島に準ずる放射線量の高い宮城県丸森町筆甫地区で、味噌作りをしている太田茂樹さん。
太田さんは17年前に東京からIターンで筆甫地区に移り住み、無農薬で育てた大豆で作る味噌工房を営んできた方です。人の健康にふさわしい食べ物を追及してきた太田さんにとって、原発事故による放射能汚染は大きな脅威でした。
そこに住み続けるべきか否かのジレンマの中で、福島ではなく宮城県というだけで子どもたちの甲状腺検査などに非科学的で差別的な対応をする行政、そのあり方に疑問を感じた太田さんは、「自分たちだけが逃げるわけにはいかない」として、そこに居続けながら一つ一つ問題点に冷静に対処しながら、生き抜く方途を模索し続けているのです。
その太田さんが、夫人と2人のお子さんとの生活を通して、そして村の人々との対話を通して、放射能禍にあっても生き抜いていくエピソードの数々は、私たちがそれぞれの地域で生きていくことの意味を改めて考えさせられるものであり、勇気づけられるものでした。
太田さんは、味噌作りをしながら、「子どもたちを放射能から守るみやぎネットワーク」を立ち上げ、除染や住民の健康調査の徹底を県や国に求める運動に取り組んでおり、他の地域に生きる私たちの理解と連帯の大切さを静かに語りかけてくるのでした。
「福島の声を聞こう!」は、被災地に通い続けている渡辺一枝さんが、そこで出会った方々のお話を多くの人に聞いてもらい、考えてもらいたいと始めた企画です。次回は12月15日(土)に予定しています。(記:伊藤孝)