先週木曜日までの鄭周河写真展に続いて、2Fガーデンでは昨日土曜日からベテラン画家・高專寺赫さんの個展「時間回廊」が始まっています。
1947年生まれの高專寺さんがセッションハウス・ガーデンで個展を開くのは13年ぶりのこと。前回は立体作品も展示しましたが、現在は平面にアクリルを軸に色づけするマチエールにこだわった抽象世界の表出に力を注いでおり、その成果とこれからの方向性を問う大小30点の作品を展示しています。

高專寺さんはこつこつと制作し作品を発表し続ける一方、函館を想起させる架空の街で生きる人々の人間模様を描き、映画化もされた「海炭市叙景」などの作品で知られる佐藤泰志さん(故人)の小説集の装画でも知られています。その佐藤さんの小説のように、立体的な質感のある色構成の作品を見ていると、人々の心の中にある襞模様が炙り出されてくるような想いに捉われてきます。要は一つ一つの作品に近寄ってじっくりと見てみること、そこからいろいろな心象風景が立ち現われてくることでしょう。

この展覧会、27日(月)まで開かれています。ベテランならではの静謐な世界の中にも、青年のようなフレッシュな心意気が感じられる世界がギャラリー空間に拡がっています。ぜひ2Fガーデンに立ち寄ってみてください。(記:伊藤孝)