報告が遅くなりましたが、6月30日(日)に
「渡辺一枝トークの会 福島の声を聞こう!」の6回目が開かれました。
今回はゲストスピーカーとして来ていただいたのは、飯館村から福島市に避難している渡邊とみ子さん。
渡邊さんは、震災前から町村合併を拒否して飯館村の自立に向けて、ジャガイモやカボチャの育種などの活動をしてきた方です。理想的な村創生として知られた飯館村ですが、原発事故の後全村避難で福島に移住せざるを得ませんでした。しかし福島市に仮住まいしていても、原発災害で居住が制限されている阿武隈地域の女性農業者に呼びかけて、福島大学の小規模自治体研究所などの協力も得て「かーちゃんの力・プロジェクト協議会」を立ち上げ、会長として加工食品や弁当を作り販売するなど、村に戻ることを視野に入れながら生産者としての営為を絶やさぬよう努力しているのです。そして食の安全管理のため、一般に言われる数値より低く設定した放射能の安全基準に基づきジャガイモやカボチャを栽培しているのですが、放射能測定には野菜をみじん切りにしなければならないなど、たいへんな労力がかかるとのこと。それだけにしかっりとした安全管理をした被災地の食品を、皆さんに食べていただきたい、そんな切な想いが伝わってくるお話でした。
野菜を作ってこその、米を作ってこその村です。農業者としての誇りをずたずたに引き裂いた原発災害。にもかかわらず政治界や経済界は、そんな災害がなかったような顔をして原発再稼働を声高に語り始めているのです。渡邊さんたちの悔しい思い、憤りは並大抵なものではありません。度々被災地を訪れている一枝さんも、仮設住宅に住んでいた人たちが、試験的に田植えを行った田圃の稲を毎日のように見にきている方たちの姿に接し、米作りを再開したいとの農業者の想いがひしひしと伝わってくると話しておられたのが印象的でした。
会場では渡邊さんたちがジャガイモやカボチャで作った加工食品が飛ぶよう売れていましたが、生産物を通して被災地とつながることの大切さをひしひしと感じさせる一日となりました。また会場には飯館村の隣り、南相馬市のおばあちゃん達が余り布で作ったぬいぐるみが展示され、これまた大人気でカンパを入れて連れ帰る人が大勢いました。
この「福島の声を聞こう!」7回目は8月31日(土)午後2時から、南相馬市からいまなお津波で行方不明の家族や地域の人々の捜索活動を続けている上野敬幸さんをお迎えして開きます。(記:伊藤孝)