昨日14日、パリを拠点に活躍しているトランペット奏者の沖至さんが久々にセッションハウスに登場、笠井叡さん主宰の天使館の4人のダンサーと、「うねる音、風の舞い」と題した一夜限りのホット・セッションを繰り広げました。
沖さんと一緒に出演する予定だったピアニストのチャンゴダイさんが、やむをえぬ事情で来日出来なくなり、変わって沖さんの昔からの盟友・コントラバス奏者の井野信義さんが駆けつけてくれ、息の合った即興プレイをで4人のダンサー(鯨井健太郒、寺崎礁、定方まこと、笠井禮示)のダンスと感応しあう時空間を創り出してくれました。
ダンスは笠井叡さんが振り付けた群舞のシーンと4人それぞれの即興ソロダンス・シーンとを構成したもので、沖さんと井野さんはその空気を感得しながら音を紡ぎ出し、静謐さと激しさが交錯しあうスリリングな舞台となりました。
天井からは火焔をイメージした赤い布を引き裂いたテープが吊るされ、最後には大阪からやって来たサックス奏者・川崎さんも加わって、井野さんの名曲「紙風船」が朗々と響く中、ダンサー達がその中に飛び込んでは倒れこみ、燃え尽きるシーンで大団円となりました。
沖さんと笠井さんは1970年代から活躍してきたアーティスト同士で、2004年にセッションハウスで「嵐の伝説」と題したセッションをやった間柄。今回は笠井さんが天使館のオイリュトミーのダンサー達に即興に挑戦させようと監修者として参加、見事な音楽とダンスの世界を現出させてくださったのでした。
「これは事件だ!」と言ってもよいほどのセッション、ここからまた新たな動きが始まる、そんな予感に満ちた一夜でありました。(記:伊藤孝)