「ダンスブリッジ・インターナショナル」のPART3が8日(土)と9日(日)に3回公演が行われ、見応え十分の“これこそダンス!”と思える4作品の競演となりました。
トップをきったのは昨年セッションベスト賞を受賞した小暮香帆さんのソロ作品『Moon Sail』。笠井叡さんのメキシコ公演で激しい群舞を踊ってきたばかりの彼女が気持ちを切り替えて、船の汽笛が響く中、集中力のあるソロダンスで成長ぶりを見せてくれました。
2番手は若いながらもさまざまなダンス手法を学び国際経験も豊富な鈴木竜さんが3人の女性ダンサー(西山友貴、服部えこ、石橋静河)とパワーあふれる群舞を披露した『LALA LAND』。最後は床に倒れ込んだ鈴木さんが唱歌「故郷」を口ずさむ中でフェイドアウトしていく印象的な作品でした。
3番手はスペインから帰国後も目ざましい舞台活動を展開している平原慎太郎さんが、北海道時代から旧知の東海林靖志さんと組んでの『アフタートーク』。ターンテーブルなどを使いながら言葉の発声と体の動きの関係性を追い求めていくユーモラスな作品で、観客席から笑い声が聞こえてくるひとときとなりました。
最後に登場したのは松本大樹さんと香港から参加してくれたアンディ・ウォンさん。2人の10年がかりのプロジェクト『樹林の舞』もとうとう最後の年を迎え、感慨深いラストショーが静かに進行していきました。
「全てはひたむきな約束から始まりました。私達はこうして皆様と共に過ごせた事に感謝しています。今年、私達は「樹林の夢」に終止符をうちます。振り返ったり、前に進み出したりしながら私達はきづきました。これが時であり、これが人生と。」(Andy Wong)
30年もの間踊り続けてきたアンディ・ウォンさんですが、終演後語ってくれたところによると、これで舞台での活動に一区切りつけて、先頃香港の民主化を求める人達の集会の中で踊ってきたように、病院や刑務所、学校などに活動の場を拡げていきたいとのこと。「ダンスには人々の心を癒す力がある」とにこやかに語るその顔はとてもさわやかなものでした。「ダンスブリッジ インターナショナル」は、11月22日、23日のPART4へと続きます。
勝部ちこさんと鹿島聖子さんのデュオにブルキナファソからオリビエ・タルパガさんが、韓国から昨年の日韓デュオ・フェスに出演したイ・クァンソクさんとホン・ミンジンさんが参加、多彩なダンスを見せてくれることになっています。これまた乞うご期待のプログラムとなることでしょう。(記:伊藤孝)