東日本大震災から」もう3年と9ヶ月。先週の12日(金)、2Fガーデンで渡辺一枝トークの会「福島の声を聞こう!」の13回目が開かれました。
今回のゲスト・スピーカーには、原発事故の影響が残る南相馬市から、ボランティア団体「フロンティア南相馬」(NPO法人)の代表理事を務めている草野良太さんに来ていただきました。草野さんは地震直後から救援活動を始めた方で、家は目の前まで襲ってきた津波の被害からかろうじて免れたものの、原発事故後は家族を岩手に避難させて自身は残り、支援物資のマッチングや配達に携わってきました。家族は全員無事で五体満足な自分として出来ることは何かと考えながら、こどもの支援事業や被災者同士の結びつきを強化するための情報の発信事業など、さまざまな支援活動に取り組んでいる方です。
その体験談を語りながらも、草野さんは復興が遅々として進まず、補助金の分配問題などから被災者の中に亀裂が拡がり、田んぼや漁場などの働く場所を奪われた人達に出来ることは家に引きこもるかパチンコ屋で憂さ晴らしをするしかないことなどを見て、心を痛める日が続いていると語られるのでした。かつて「要は金目でしょ」と被災者の心を逆なでするような発言をした大臣がいましたが、絆を強め復興を進めていくどころか、それとは真逆に人間関係を破壊していっている現状に、強い憤りを感じていることを語って下さいました。そして客席からもドキュメンタリー映画の制作者など支援のあり方を考えている方々からの発言も相次ぎ、活発な意見交換の場となりました。
こうした被災地の姿にかかわらず、一昨日の選挙では原発再稼働を公言する与党が大勝、オリンピックを前に復興事業での人手不足が顕著になってくるなど、先行きに希望の兆が見えない現在、自分達はどのような発言をし、どのような行動をしていけるのか、改めて痛覚させられるトークの会でした。
なおこのトークの会、当然のことながら来年も続きます。次回は来年の3月3日に予定しています。また、この「福島の声を聞こう!」に来て下さった方々の証言を収録した本『3.11後を生き抜く7人の証言』(本1,200円+税)が間もなく出版されます。会にお出でになれなかった方にも是非読んでいただきたい貴重な証言集です。ご希望の方は下記の所にお申込み下さい。
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