昨日の憲法記念日、セッションハウスでは昨年続いて笠井叡さんの「日本国憲法を踊る」の公演が行われました。
ダンスは笠井さんのソロ。そしてフランスの人権宣言から始まって古事記や大日本帝国憲法、三島由紀夫の「英霊の聲」を経て、日本国憲法まで至るまでの朗読は、昨年と同じくオイリュトミーを笠井さんに師事している3人の女性たち(尾崎若菜、川上晶子、山口奈緒子)。
時にベートーベンの葬送行進曲や君が代が、戦争で亡くなった人々の「死」への想いをかき立てるように流れる中、笠井さんは体の中から絞り出すような言葉とともに激しダンスを1時間にわたって展開していきました。
現在、政府が世界各地への海外派兵の道を開く安全保障体制の成立をめざし、「改憲」への動きが加速化していますが、笠井さんはその「危機」を強く意識しているからでしょうか、
「私のカラダを立たせている」のは“自由、平等、博愛”を骨格とした日本国憲法の精神だと考える笠井さんの今年のダンスには、昨年以上に「鬼気迫る」ものがあり、私たちに絶望的とも思える文言を交えながら強烈な問いを発信してくるものでした。
「ダンスは時代性を無視してはありえない」。1970年代の舞踏の創始以来、その想いでダンスの立ち位置を追求してきた笠井さんの闘いはまだまだ続いていくことでしょう。(記:伊藤孝)