報告が遅くなりましたが、7月29日、日暮里のd-倉庫で始まった「踊りが見たい」の「春の祭典」シリーズ12組のトップをきって、マドモアゼル・シネマが登場、10名のダンサーがストラヴィンスキーの名曲をパワフルに踊りきりました。チケット予約が満席となったため、19時半からの公演に加えて急遽21時から追加公演を実施、夜遅い開演にもかかわらず合せて170名を越えるお客さんが来て下さり、猛暑を吹き飛ばす熱い舞台となりました。

舞台は一塊となったダンサーの中から、佐藤郁が語るフランスの評論家ジャック・リヴィエールの言葉から始まりました。「これは生物学的バレエである。もっとも原始的な人間の踊りというだけでなく、人間以前の踊りでもある。・・・ここにあるのは、すさまじい成長の勢い、樹液の上昇によるパニックと恐怖、おそろしい細胞の分裂である。荒れ狂い、痙攣し、分裂する、内側から見た春である。」ダンスシアターを持ち味としたマドモアゼル・シネマならではの幕開けです。



原田松野さんがデザインした白を基調とした衣裳と、いつもとは違う白塗りのメイキャップで登場したダンサーたちの動きは、黒い壁と黒いフロアの舞台でくっきりと浮き上がり、生贄をささげて暴力的ともいえるロシアの春の到来を迎える物語を紡ぎ出していきました。




35分余り鳴り響く音楽の中で踊りきった10名のダンサーたち(竹之下たまみ、佐藤郁、外園彩織、鈴木加奈子、古茂田梨乃、須川萌、豊永洵子、中島詩織、蓮子奈津美、堀田果那)と振付の伊藤直子に満席のお客さんから熱い拍手が送られたのでした。(記:伊藤孝)