もう1週間前のことになりますが、私は11月23日から30日まで韓国のSCF(Seoul International Choreography Festival)に審査員として招かれ、ソウルに行ってきました。

陸完順さん
このフェスティバルは韓国ダンス界の先覚者・陸完順(Wansoon Yook)さんの芸術監督の下、毎年11月に開かれるコンペティションで、近年韓国に加えて日本からも多くのダンサーが参加、挑戦しています。今年は何と44作品が上演され、日本からはソロからグループ作品まで9作品が参加する賑わいとなりました。

会場となったアルコ・アート・センター

ヨーロッパからフランス、フィンランド、リトアニア、ブルガリア、チェコの審査員が来韓、日本からは評論家の乗越たかを氏と私が招かれ、韓国の審査員ともども、ダンス漬けの毎日を過ごしてきました。私にとってダンスの審査など初めてのこと。「これはいいな」と思う作品も少なからずありましたし、審査員それぞれ注目点は異なるのは当然としても、作品のどこを見て評価するのか、とても難しいものでした。

審査員の面々(一部)
日本勢の健闘ぶりもなかなかのもので、石井則仁さんが審査員賞、5回目の参加となった小池陽子さんが先頃セッションハウスで踊った作品で審査委員長賞を受賞。その他セッションハウスのプログラムに参加したダンサーの作品としては、長嶋樹君と三浦健太朗君のデュオ、仙田麻菜さんのソロなどがあり、受賞はしなかったもののヨーロッパの審査員から高い評価を受けていたのは嬉しいことでした。

石井さんを囲んで長嶋君と三浦君

リトアニアの審査員Brite Letukaiteさんと仙田麻菜さん 私としては韓国の李貞寅(Lee Jung In)さんのソロ作品『Skins』が、コンテンポラリー・ダンサーとしてオリジナリティのあるハイレベルな動きと、ターンテーブルを使った音響と照明などの舞台構成が素晴らしかったことから、来年の「ダンスブリッジ・インターナショナル」に招くことにしました。

Lee Jung Inさんと小池陽子さん
またSCFが開催されていたアルコ劇場からほど近いソンギュン劇場では、日韓デュオフェスの公演が開催中でしたが、SCFの公演と重なっていたため見ることが出来ませんでした。
しかし公演前のひととき出演中の鈴木竜君と池島優君を表敬訪問、頑張っている2人に会って来週の東京公演でその成果を見るのを楽しみに帰ってきた次第です。

鈴木君と池島君を囲んで私と日韓の橋渡し役で奔走する崔柄珠(チェ・ピョンジュ)さん、デュオ・フェスの韓国側プロデューサーのイ・チョルジンさん
日本と韓国とのダンス交流、これからさまざまな形で盛んになっていくことと思われますが、来週の12日(土)と13日(日)開催の「トーキョー×ソウル デュオダンス・フェスティバル」でその熱い息吹を感じていただけたらと願っています。皆さまのご来場をお待ちしています。(記:伊藤孝)