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セッションハウス スタッフブログ 【スタッフより。】

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土と共に生きてきた飯館村の母ちゃんの語りに圧倒された「福島の声を聞こう!」

連休も終わりに近づいた5月7日の土曜日、セッションハウスの2Fギャラリーでは、渡辺一枝トークの会「福島の声を聞こう!」の19回目が開かれました。
今回のゲスト・スピーカーは、全村避難となった飯館村で生まれ育った菅野榮子さん(79歳)。原発事故で村を離れざるを得なかったことから、今村民が直面していることなど、2時間半にわたって、たっぷりとお話しして下さいました。
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菅野榮子さんの家は米とタバコを栽培する農家でしたが、その後は長年牛を飼育する酪農家でもあったという根っからのお百姓さん。飯館村は平成の大合併を村民皆の討議を経てそれを拒否し、自立的な村作りをしていて豊かな里山もある「美しい村」と評されていた所でしたが、その生活を根こそぎ奪ってしまったのが原発事故でした。榮子さんはその村を後に今は仮設住宅で一人住まいを余儀なくさせられていますが、その辛い生活を支えているのが、隣りに住む菅野芳子さんをはじめとした村の仲間達であり、狭いながらも畑を借りて野菜作りを続けていることだと言います。
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かつての村の暮らしの歴史や辛い今の境遇を、明解な口調でたんたんと語る榮子さんは、原発事故を経験して自分の生き方や国のあり方をこれまで以上に真剣に考えるようになったと言います。この世の中を少しでもよくしていこうとするならば、皆さん一人ひとりがよく考えて行動していってほしいと語りかけるのでした。
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表向きの除染作業などもあって、来年にも帰村宣言が出そうだとのことですが、まだまだ村内には放射能の高いホットスポットも随所にあって、果たして帰村することがよいことなのかどうか、悩みは尽きないのだとのこと。でも榮子さんは、村民が自由に意見を闘わせながら村作りをしてきたバックボーンのある地についた“民主主義者”です。困難な状況の中にあっても人と人との出会いや繋がりの中に希望を見出そうとしている方でもあるのでした。
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聞く私たちがむしろ励まされる榮子さんのお話でしたが、この榮子さんと仲良しの菅野芳子さんを軸にしたドキュメンタリー映画が今、ポレポレ東中野で上映されています。題して「飯館村の母ちゃんたち土とともに」(古居みずえ監督)。原発事故から5年、畑を耕し、漬物をつけ、「ばば漫才」と冗談を飛ばしながら互いに元気づけあって暮らす2人を追った映画です。渡辺一枝さんも皆様にもぜひご覧になっていただきたい映画と推奨していらっしゃいます。(記:伊藤孝)
by sh_offstage | 2016-05-09 03:26 | Comments(0)
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