これまでにセッションハウス・アワード「ダンス花」で、セッション賞等を受賞した若き振付家が結集した公演が、25日(土)と26日(日)に3回実施され、お客様も大勢詰めかけて盛況のうちに終わりました。
今回登場した振付家は、鈴木竜さん、望月崇博さん、中村蓉さん、星野泉さん(DEBEDEBE 1号)と、韓国からスペシャル・ゲストとして招いたソウル総合芸術学校教授のイ・ユンギョンさんの5人。ソロあり、デュエットあり、群舞ありで多彩舞台が展開していきました。
まず登場したのは2014年の第三回ベスト賞受賞者・鈴木竜さんの振付作品『アノヒノアレ』。鈴木さん自身は踊らず、「ダンス専科」のワークショップに参加した9人のダンサーが登場、新保瑛加さんの映像などを駆使して、独特なダンス空間を創り出していました。
2番目に登場したのは、2013年第二回奨励賞受賞者・望月崇博さんが大学後輩の酒井大輝さんと創った作品『ブラザー』。兄弟の関係をユーモラスに描くもので、笑いを誘っていました。
3番目は、2012年の第一回ベスト賞受賞者・中村蓉さんの『ロンリー』と題したソロ作品。これまで小道具などを駆使したやり方を封印、体一つでダンスの原点を探っていくことに果敢に挑戦する姿を見せてくれました。
インターバルを挟んで4番目に登場したのは、2015年観客賞を受賞したDEBEDEBE1号(振付:星原泉)の『ewigエーヴィヒ』。8人の女性ダンサーが、衣裳や音楽にどこか民俗的な香りのする親しみ深い作品を再演してくれました。
最後に登場したのはスペシャル・ゲストのイ・ユンギョンさん。大学や自らのカンパニーで後進の指導に携わる傍ら、踊り続けているという大ベテラン。これまでの長いダンス人生への想いをこめた作品『踊りの告白2015』を韓国の伝統音楽パンソリの名手・金素姫(キム・ソヒ)の歌とともに踊りきり、緩急のある動きで異次元に誘うひとときが過ぎていきました。
土曜日のファースト・ステージの後には、若いダンス研究者の中野優子さんと木場裕紀さんの司会でアフター・トーク。それぞれの振付家の作品創りにこめる想いや方法などを話してもらいました。
そして、イさんのお話からは韓国でのトレーニングの厳しさが伝わってきて、若いダンサー達がギャフンとなるひとときもありました。(通訳:岡田恩圭さん)
アフター・トークの後も来場したダンス評論家の方々をまじえてダンサーやスタッフ達とのダンス談義が続き、ダンス研究者の2人もイさんにしきりと韓国のダンス事情などをインタビュー、有意義な交流の場となりました。(記:伊藤孝)