昨日の20日土曜日、マドモアゼル・シネマの「一人旅」公演が2回にわたって行われました。いつもは一緒に踊っている7人のダンサーたちが、それぞれ自らに振付けたソロ作品にチャレンジするもので、ひとり一人の中にある“狂気”ともいえるマグマが噴出する熱い舞台となりました。
舞台写真からその熱気をご想像下さい。
1.須川萌『巣を』
鳥は、さようならと、土地から巣立つ。旅の中で拾い集めた、小枝や花苔、羽などで卵を産み育て、脆い家を作る。その後、跡形は残さない。一度、喜びも悲しみも拾い集めて、誰も知らない巣を身籠る旅に出る。
2.中島詩織『ありよりのなし。』
コドモになる準備はできている。サトリ世代万歳。社会で生きるってありよりのなしだものりよりのなしだもの。
3.古茂田梨乃『バク』
縛られているのではなく、自ら縛りつけているのではないか。止めようにも止められない。身体から湧き出る衝動を、今。
4.佐藤郁『an island』
初めて一人で行った島はマンハッタン島、世界一ギラギラした島。その次の島は宇久島、牛としかすれ違わない島。行き止まりの安心と、有限の憤り。I always long for…
5.蓮子奈津美『狼の皮を被った羊』
被ったのは羊 被せられたのは狼 そこで覗いているのは誰 それを覗いているのは誰
6.鈴木加奈子『溺ルル花嫁』
まぶたは二重、時々一重。心は女王、時々ミジンコ。湯船で口ずさむは、じょうぜんみずのごとし。
7竹之下たまみ『キャスター松上彰子の日常』
本日も最新のニュースをお伝えします。的確に、分かりやすく、時に真面目に、笑顔で。ここが私の戦場。この世は私が生きる場所。
この「一人旅」公演を終えて一息つく間もなく、マドモアゼル・シネマはただちに海外公演に向けての振付け作業を始めます。主宰者の伊藤直子曰く「働き、学びながらダンスを続けるダンサーたちは、夏はメキシコ、秋にはエチオピア・ツアーを予定しています。どちらも困難な旅ですが、意義ある旅と感じ、覚悟が決まってまいりました。一人を経験して続く“旅”、今後ともよろしくお立会いくださいますようお願いいたします。」(記:伊藤孝)