今年の「ダンスブリッジ」の第3弾として行われた「インターナショナル劇場」公演は、中村蓉の総合演出で出演した海外(ドイツ、韓国)からのダンサーを含めて5組の作品に観客の方々からキャッチコピーを寄せてもらうという試みに挑戦したもので、会場が一体となって進行する公演となりました。
作品は群舞あり、ソロあり、また生演奏やダンスのライブ写真や映像を使った作品もあって、バラエティに富んだ舞台となりました。プログラム順にお楽しみください。
1. 踊る銭湯PJ『nigh / ナイ』振付:HIDE 演出構成:宇山あゆみ 出演:HIDI、柴田菜々子、根本紳平、則竹美空、堀川千夏 太鼓:高倉龍和、写真インスタレーション:アベトモユキ、渡部孝弘
「シャッターを切る瞬間を肉眼で見ることはない。大事なものはいつも捉えられない。ナイ(無)/ nifh(近くに)inspired by 般若心経」
2.皆藤千香子『Age of curse』コンセプト・振付:皆藤千香子 ダンス:ヤシャ・フィシュテート、ハナ・クレプス、カール・ルンメル
インタネット上に死は存在しない。私達はウェブの奥深くで永遠に生き続ける運命にあるのか?「私が呼んだ幽霊、それから逃れることは、できません。」(ゲーテ「魔法使いの弟子」より)

3.ブッシュマン『肌束の尾』振付:黒須育海 出演:金子佑紀、河内優太郎、黒須育海、江口力斗、手塚バウシュ、中村駿
異形な身体を探求する独自の世界観を創るブッシュマンたち!
4. Lee Dog Ha『Guernica Again』振付・出演:Lee Dong Ha
「地球の一方には、どんなものでもミサイルで破壊される時、どんな形容詞も間もなく血まみれなものになるし、どんな動詞も間もなく残酷になるだろう。戦争を企むあなた、直接的な悲劇、彼らを破壊することなかれ。明日そしてこれからの日々を、花屋の窓を壊さないでくれ。」
5.中村蓉『ジゼル短編』振付・出演:中村蓉
「ジゼル、教えてほしい。この身を超える愛の選択を。」
公演を終えた後、5作品のそれぞれのボードには予想以上に沢山のキャッチコピーが貼り付けられ、見た方々がさまざまな感じ方をしているのが分り、客席と舞台の距離がぐっと近くなるユニークな試みとなりました。
また、2回目の公演後には、セッションハウスの研究班の中野優子と木場裕紀による振付家たちへのインタビュー・コーナーもあり、ダンス作品への理解を深めるひとときになりました。
ダンスをより身近なものにするため、見せ方、見方を模索する試みはこれからもいろいろな形で行われていくことでしょう。ご期待ください。(記:伊藤孝)