今年の「ダンスブリッジ」の第1弾として、笠井瑞丈監修公演が18日(土)と19日(日)に3回にわたって行われ、ダンスと朗読による詩情あふれる舞台となりました。
題して『霧の彼方へ』。

出演は笠井叡氏を筆頭に笠井瑞丈、笠井禮示、浅見裕子、上村なおかの5人の舞踊手と、テキストの朗読で笠井久子夫人とピアノ演奏に島岡多恵子が出演、作中に長男の笠井璽示さんの写真が登場し、多彩な場面が次々と展開していきました。








モーツアルトのレクイエムやフレデリク・モンポウなどの曲が響く中、リューマチいう難病に長年悩まされてきた久子夫人が自作の詩を朗読、胸に静かに響いてくるシーンもあって、私たちを想像豊かな世界に誘っていく忘れがたい時間が過ぎていったのでした。
「未来から記憶の風が吹いてくる。心の中にたくさん、コトバの種を植えよ。美しい色、芳しい香り、透明な響き。壊れていくカラダを恐るな!心の中のコトバタチ。やがて光と熱になって、壊れたカラダは、青空の中に溶けていく・・・。」

「私は、霧の中をいつから歩いているのだろうか?前も後ろも見えない。内も外も・・・ない。私がいない。どこ?私はどこにいるの?・・・彼方から、風が吹いてきた・・・
朝、目覚めると、大きな夏の青空が、リウマチで歪んだ私のカラダの内側に、するりと入り、70年前の朝が今日の朝と重なる。」

「困難な時こそ、カラダはそれを克服しようとするチカラを持つものです。そのチカラが作品を生むのです。“恐れるな”前に進もう。母の言葉はチカラ強い。霧の彼方に」(笠井瑞丈)



この「霧の彼方へ」の公演を見れなかった方、再度見たい方は、今週の土曜日までアーカイブでオンライン配信をしていますので、ぜひご覧になって下さい。セッションハウスのHPでその申込のやり方をご案内をしています。
なお「ダンスブリッジ」は第2弾として10月9日(土)、10日(日)に平原慎太郎監修公演を実施致します。12月まであと6つの監修公演を行いますので、コンテンポラリーダンスのさまざまをお楽しみになることが出来ます。ご期待下さい。(記:伊藤孝)