セッションハウスのギャラリー【ガーデン】では今、水墨画家・横山近子さんが独特な抽象表現による展を開いています。
横山さんは水墨画家に師事してその手法を学ぶとともに、油彩画家の池田達雄氏に抽象表現を学んだことから独自の世界を開拓、旅好きであることからモロッコやスペイン、アルメニアなど数多くの国を訪れ、滞在しては迷宮のような街の路地や遺跡などを見、聴こえてくる音楽などからインスパイアされたエセンスを体の中から絞り出すようにして、画面と向き合って作画していく方です。
横山さんは20年ほども前から数多くの個展やグループ展に出品し、セッションハウスでも2回目となる個展です。今回は縄文土器などから感じ取った古代人の生命感に感動して作画してきたことから、展覧会のタイトルは「Jomon」。墨を主体としながら柿渋やクルミの渋で独特な風合いによる大作がギャラリーを異空間にする圧巻の展覧会となっています。私見ですが、見ているとその抽象世界に描かれた遺跡や路地裏の建造物の断片のようなも得体の知れないもの達が動き出し、まるで賑やかな会話が聞こえてくるような感覚に捉えられてくるのです。そして大作の間には小作品もあって、そこからはささやき声が聞こえてくるような展示となっています。この横山近子さんの個展は26日(火)まで開催しています。現在世界を覆う暗雲を吹き飛ばすような展覧会です。皆様のお越しを作家ともどもお待ちしています。(記:伊藤孝)