12月3日(土)と4日(日)に3回の公演を行った「ダンスブリッジ」。4弾目となる今回は、「3つの白鳥」と題して、ドビュッシーの「白鳥の湖」を独創的に翻案した色合いの異なるダンスが見れる舞台となりました。
まず先頭をきったのは、宝塚出身の坂井美乃里の「醜い白鳥」でソロによるバレエの舞を見せてくれました。

「女性であるならば、美しくありたい。でも、美しくいる為に苦心する必要はないと思うんです。どんな見た目だって、どんなスタイルだって、美しいことを心から楽しんでいた方がよっぽど楽しんでいた方がよっぽど美しいと私は思います。」(坂井美乃里)

次に登場したのは振付・山口夏絵、バレエ振付・稲村はるの下、7人のダンサーが参加して群舞による「新・白鳥の湖」。出演:稲村はる、歌川椎子、宮内愛、山口夏絵、井上智子、坂本奈津子、佐々木冬雪が、諧謔な演劇的シーンをまじえた賑やかな舞台となりました。


「加齢に伴いたるんでいくニノウデをあえて盛大に揺らし、ユーモラスな演出とともに等身大の女性の身体性を見せることを試みます。細く華奢なバレエ的身体で踊られるオデットのみが白鳥なのか?という問いを、ルッキズムの横行する現代におけるアンチテーゼとして観客に投げかけます。」(山口夏絵)


そして最後に登場したのは大ベテラン・バレエダンサーの尾本安代。苫野美亜の振付で始めは黒い衣裳で、そして海辺の映像の中白い衣裳になった尾本が静謐な世界を創り出していきました。映像:戸澤徹、渡邊昌代、衣裳:喜多理恵


「近代教育の礎を築いたペスタロッチ白鳥の歌から3つの根本力の要素を引用し、尾本安代の舞踊人生とリンクさせた舞踊表現を構築します。」(苫野美亜)


バレエとコンテンポラリー・ダンスのエッセンスが交錯しあう世界が出現した舞台は笑いと感動に包まれて幕となったのでした。(記:伊藤孝)