一昨日の土曜日と昨日の日曜日、「リンゴ企画」の新シリーズ「神楽坂とさか計画」の第1弾『ブルグミュラー25』が、3回公演とも満員御礼状態の賑わいで終わりました。
ブルグミュラーとはドイツの作曲家の名前で、ピアノを習った人にはお馴染みの教則本を作った人。その1曲45秒から1分半という短い25曲を集めた教則本にのっとって、曲ごとのイメージを自己流に解釈してダンス化するという前代未聞の破天荒な試みに近藤良平氏が挑戦したのです。
呼びかけに応えて参加したのは、斉藤美音子さん、森下真樹さんのベテラン・ダンサーに中村蓉さん、中村理君、堀菜穂さんの若手ダンサーと、ドイツ仕込みのピアニストの広沢麻美さん。シーンごとに曲目やブルグミュラーとはなんぞやとの解説の字幕を入れながら、私たち誰しもが日頃の暮らしの中でしているであろう仕草や行動をユーモラスに描いていく25+2の場面が次々の展開していくのですから、面白くないわけはありません。日曜日午後の回にはチビッ子たちも大勢詰めかけ、会場にはそこここで笑い声が聞こえてくる楽しい時間が流れていきました。
ピアノの教則本をダンス化する、そんなことがあり得るの?と、疑心暗鬼でやって来たお客さんの中には、ブルグ協会(そんな会もあったのですねえ)の人や音楽雑誌の編集者も駆けつけ、聴いて見てみてびっくりで感心すること仕切り、良平氏にインタビューを申し込むという一幕もあったのです。
良平氏が構想し始めてから1年という作品、でもまだまだ展開していく余地があるとか。今回見れなかった人、そしてもう一度見てみたい人、その想いに応えてくれる日がまたやってくるかも知れません。乞ご期待です。(記:伊藤孝)